2020年(~12/15)は、映画を53作品見ました(初見の作品のみ)。
映画館にはほとんど行けなかったので(行けたのは2回のみ)、新作はほとんど見れなかったため旧作が中心です。
そのぶん名作と言われる過去の韓国映画をかなり見ることができたのではないかと思います。
ということで、新作は少ないですが、今年心に残ったベスト映画を10作品選んでみました。
順位をつけるのはあまり得意ではないので、ランキングではなく、順不同です。
ざっくりジャンル別にまとめてみましたので、だいたいの内容把握にご利用ください。
Amazonで配信されているものはリンクを貼っています。
エンターテイメント
新感染半島 ファイナルステージ(2020)
新型コロナウイルスが少し落ち着いた7月、どうしても大きなスクリーンで見たいと思い、映画館に見に行った作品です。
コン・ユ主演の新感染 ファイナル・エクスプレスの続編で、舞台は前作の4年後という設定なのですが、ストーリーのつながりはないため、前作を見ていなくても楽しめる内容になっています。
前作が感染病の恐怖や極限状態に陥った人間の心理などを描いた作品でしたが、今作はよりエンタメよりの内容になっていて、ゾンビとのバトルやアクションが中心になっています。
主役のカン・ドンウォンがかっこ良すぎるので、ファンの人は倒れないように注意です!
とはいえ、カン・ドンウォン一人勝ちムービーというわけではなく、助演のイ・ジョンヒョンさん、イ・レちゃんもかっこいいのです…。
前作では守られるだけだった女性や子供が戦うという、価値観のアップデートがされているところがさすがです。
日本では2021年1月1日公開だそうです。
新しき世界(2013)
ヤクザものってそこまで好きではなくて(暴力的なシーンがそんなに得意じゃないので)敬遠していたのですが、もっと早く見れば良かったと後悔した作品。
主人公は、犯罪組織にスパイとして潜入している警察官(イ・ジョンジェ)。8年間に及ぶ潜入捜査の末、警察官としての本来の職務と、組織内での兄貴分(ファン・ジョンミン)への忠誠の間で葛藤することに。
最後まで先が読めない展開にハラハラしっぱなしです。話は重めですが、ストーリーの流れはわかりやすく、難解な映画ではありません。
私としてはかなり好きなタイプのエンディングでしたが、そこに拍車をかけるように、最後に流れるごく短いあるシーンに、心を全部持って行かれました。
プリクエル(前日譚)の制作が決まっているそうで、楽しみです。
今年はイ・ジョンジェの魅力にはまった年でもありました。「サバハ」のうさんくさい牧師役もよかったですねぇ…。
監視者たち(2013)
私はサスペンスが好きです。
サスペンスって、トリックや登場人物の行動など、細かいところのつじつまが合っていないとストーリーに集中できなくなってしまうものですが、この作品はそういった点がなく、展開や設定が非常によく練られていると感じました。
主人公は、韓国警察特別犯罪科「監視班」のメンバーたち。
韓国映画には警察官が主人公の作品が非常に多いですが、この作品では、凶悪犯罪の行動監視という、監視班の仕事の性質上、アクションよりも登場人物たちの頭脳戦が見所です。
とある犯罪組織を追う内容ですが、監視班のメンバーも、犯罪組織側も非常に頭が切れるので、お互いの先読みをさらに先読みするといったスピーディーな展開に、息つく暇がありません!
ヒューマンドラマ
フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017)
フロリダのモーテルでなんとか暮らしをつないでいるシングルマザーの若い母と娘の物語。
画面中の鮮やかな色合いが印象的で、美しい映像のファンになってしまう方も多いのではないかと思います。
基本的に6歳の娘ムーニーの視点で進行し、お金がなくても楽しく遊ぶ子供たちをみてほっこりするシーンが多いのですが、生活がいよいよ逼迫すると、親子の生活に陰りが見え始め…。
最後の10分は圧巻。まさに魔法にかけられたような気分に。
この作品もそうですが、万引き家族やパラサイト 半地下の家族
など、貧困を描く作品があらゆる国で作られているのを見ると、この問題が世界中で顕在化してきているということがよくわかりますね…。
37セカンズ(2020)
過保護な母親のもと、狭い世界で生きている脳性麻痺の女性が主人公。
漫画家である親友のゴーストライターとして地味な毎日を送る中、独立を決意して出版社にアダルト漫画を持ち込むものの、「あなた、経験あるの?人生経験がない漫画家にいい漫画家は描けないよ」と一蹴されてしまう。これがきっかけになり、知らない世界に足を踏み出す…。
ヒロインを演じたのは、主人公と同じく体に障害をもつ佳山明さん。健常者が障害者の役を演じることに疑問を抱いた監督の意向により、オーディションによって選ばれたそうで、彼女の演技が光っていました。
根本にあるのは自分を好きになれるかどうか、自分にいかに向き合うかという普遍的なテーマであり、共感したり、元気をもらえる方も多いと思います。
はちどり(2018)
ミニシアター系ながら韓国はもちろん日本でも話題になった作品。
1994年、経済成長のまっただなかにある韓国が舞台。
主人公のウニは14歳で、ごく普通の家庭で暮らしているのですが、あたりまえの日常がなぜか息苦しいと感じています。そんなときに出会ったある人との出会いが、ウニの息苦しさの正体に気づくきっかけになるが…。
キム・ボラ監督は今作が初めての長編監督作品だそうですが、そうは思えない素晴らしい作品でした。
台詞ではなく、演者の表情や、光、カメラワークなど、映像で語りかけてくる描写力が素晴らしいと思いました。
ウニは自分の考えを多く語りませんが、映画のシーンから、ウニの悲しみ、喜び、苦しみといった感情が伝わってきました。
はちどりは、小さいけど必死に羽ばたいている主人公そのものなのかなと思いました。
社会派・史実を元にした作品
弁護人(2013)
軍事政権下、弁護士だった盧武鉉元大統領が政治運動にかかわるきっかけとなった事件をモデルにした映画。名作です。
成金だった弁護士が、国民のために立ち上がるまでをソン・ガンホが本気の演技で魅せてくれる、とにかく胸が熱くなる作品です。
韓国映画では、70年代~80年代にかけての民主化運動を題材にした作品が多く、どれから見たらよく分からない、難しそう、という方も多いかもしれません。
「弁護人」は民主化運動を描いた作品の中では比較的分かりやすく、見やすい作品だと思いますので、最初の一作目としてもおすすめです。
工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男(2018)
韓国に実在したスパイ、「黒金星」の物語。
舞台は1990年代。韓国から北朝鮮に送られたスパイ(ファン・ジョンミン)と、対外交渉を担う北朝鮮の官僚(イ・ソンミン)を中心に話が進みます。
最初は互いの腹の探り合いをしつつ、次第にそれぞれの胸の内を知り合い、二人の間には友情が生まれるのですが…。
ファン・ジョンミンももちろん素晴らしいんですが、イ・ソンミンの演技にしびれました。
ポーカーフェイスに見えてその実、貧しい祖国を憂い、発展させたいと願う熱い人物を演じていました(ちなみに、イ・ソンミンは「ミセン」のオ課長役の俳優さんです)。
137分の長編ですが見て損はしません!
新聞記者(2019)
いろいろな意味で話題になりました。
エリート官僚と、新聞記者が政権の不都合な真実を巡り葛藤する物語。
間接的に当時の政権を批判する内容で、日本でもこんな気骨のある作品が生まれるとは、と驚きました。
政府とは何なのか、メディアとは何なのか、国とは…と考えさせられます。日本で生まれ育った人、日本で生きていく人にとって、必見の作品だと思います。
主演女優は韓国のシム・ウンギョン。
去年から日韓関係は冷え込む一方ですが、それでもこうして日本の作品に精力的に出演する彼女を応援し続けたいです。
1987、ある闘いの真実(2017)
韓国の民主化運動を描いた作品の中でも非常に評価の高いこの作品、ようやく見ることができました。
1987年1月に起こった学生運動家の拷問死をきっかけに、大規模な民主化デモである6月民主抗争に至るまでを描いた実話ベースの物語。
主役級の俳優さんが多数共演しているのですが、無駄に豪華キャストというわけではなく、リレーのように様々な登場人物の視点が描かれ、それが大きな運動につながっていくというストーリー。
一人のヒーローが歴史を動かしたわけではなく、全員が少しずつ自分の正義を突き通した結果、民主主義の道が開かれたということなんだと思います。
後で調べてみたところ、映画のストーリーはほとんどが史実の通りだったということに、何より胸が熱くなりました。
韓国に関わる人全てに見てほしい、素晴らしい作品です。
気になる映画はありましたでしょうか。年末年始のお休みになどにぜひ見てみてください。
ツイッターでも、#sally韓国エンタメ というタグで見た映画やドラマの感想をつぶやいています。よければ見に来てください。
(韓国映画でないものについてもつぶやきたいなという気持ちが強くなったので、もしかして近々新しいタグを作るかもしれません)
話題の韓国映画「ザ・コール」見ました!過去と会話できる電話がキーになるスリラー。怖い演出あり。
— サリー🥨 (@sallyinkr) December 6, 2020
前評判通り、演者の演技がすごい!脇役のキャスティングも豪華✨前情報なしで見たほうが楽しめます。
#sally韓国エンタメ pic.twitter.com/3LdKmjLevK
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